私にとっての平和とは、すべての人が笑顔でいられることです。
一人でも多くの人を笑顔にできる医師になること、それが私の幼い頃からの夢です。
私は、9歳の時に、FIFAワールドカップのエスコートキッズとして、ブラジルで、アメリカ、イラン、アルゼンチン,エジプト、サウジアラビア、ドイツなど、世界中のキッズと、サッカーやゲームを通して交流し、言葉は解らなくても、みんな満面の笑みで一緒に遊んで、とても楽しい時間を共有することができました。
その数えきれない笑顔は、今も私の大切な宝物です。
笑顔に、国境はないのです。
しかし、医療水準には、国や地域ごとに、大きな差があります。
例えば、WHOのデータによると、日本のように平均寿命が80代の国がある一方で、50代の国もあります。
また、ユニセフのデータによると、乳幼児1000人の死亡率が、日本、スウェーデンなどでは1人であるのに対し、43人であるという国もあります。
世界中の笑顔を守るには、まず、生活の基盤となる医療における世界的な格差をなくすこと、つまり、どこに生まれても、どんな環境にあっても、等しく適切な医療を受けられることが、とても重要だと、私は考えています。
日本は、先進医療に長けていることはもとより、国民皆保険制度をもち、国民の衛生意識も非常に高い国です。
そんな日本が、SDGs.の、
3. Good health and well-being「すべての人に健康と福祉を」、
10. Reduced inequalities「人や国の不平等をなくそう」、
16. Peace, justice and strong institutions「平和と公正をすべての人に」、
の3つのゴールにおいて期待される役割は、特に大きいと感じています。
そこで、私は、心身のことで困った時に、世界中の誰もが利用できる、「Global Medical Call」というシステムの構築を提案します。
必要があれば、24時間どこからでも、電話やチャットを通して、医療従事者に相談できる窓口を作りたいと考えています。
世界中の医療従事者が協力して取り組むことで、相談者側の時間が夜中であっても、日中である他の国の医療従事者が対応できるように、翻訳ツールを内蔵します。
医療従事者は、リモートで対応することを想定しています。
ですから、例えば、子育て中の医療従事者が、子どものお昼寝タイムなどの隙間時間に対応することなども可能です。
このように、「Global Medical Call」は、特定の医療従事者だけに負担が偏らない、みんなが気兼ねなく使えるサービスです。
なお、PCやスマートフォンを持っていない人たちもこの「Global Medical Call」を利用できるように、いつでも本が読める「図書館」のような、いつでもPCやタブレットが利用できる「ネット館」が必要だと考えています。
「ネット館」は、わざわざ新しく建設しなくても、役所や図書館など既存の建物の一部に併設するだけで十分です。
そこで、私から大人の皆さんにお願いがあります。
「Global Medical Call」の運営には、皆さんの協力が不可欠です。
特に、社会に大きな影響を与えることのできるリーダーの方々に、心身のことで困った時、誰もがいつでもこの「Global Medical Call」を利用できるよう、ネットワークの整備や「ネット館」の設置をお願いしたいです。
この「Global Medical Call」の構築には、他にもまだまだ考えないといけない課題がいくつかあります。
ですから、世界の大人の皆さん、どうか私に知恵と力を貸してくださいますよう、よろしくお願いします。
こうして、世界中の困っている人達が、体や心の悩みを打ち明け、まずは自分自身を大切にするようになると、きっと、周りの人に対しても一層優しくなれることでしょう。
そうやって、世界中にどんどん笑顔の輪が広がるのではないか、と私は考えています。
言葉は違っても、笑顔は世界中、誰にでも通じるものです。
インドで出会った赤ちゃんに、日本語で「かわいいね」と微笑みかけると、赤ちゃんは私に満面の笑みを返してくれました。
世界中、一人一人の命の尊さに、違いはありません。
医療において格差をなくすことは、世界中の人々を笑顔にする、つまり、世界が平和になるための大きな足掛かりとなることでしょう。